魚病研究
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12 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • BG-Fusariumの分離および同定
    畑井 喜司雄, 古谷 航平, 江草 周三
    1978 年 12 巻 4 号 p. 219-224
    発行日: 1978/03/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1.養殖クルマエビの鯉黒病に関し,養殖池の砂からの真菌の分離およびBG-Fusariumの同定を試みた。2.BG-Fusariumの出現数は池の中央部と端部においてほとんど差がみられなかった。3.鯉黒病発生のためすでに2ヵ月間池乾し中であった池の砂からもBG-Fusariumが検出された。この事実はBG-Fusariumが砂中で長期間生存可能なことを示唆した。4.BG-Fusariumは発病池の砂1g中に2.0×10~8.0×102 fungal elements存在することが判明した。いっぽう,非発病池の砂からは検出されなかったことから砂中のBG-Fusariumが疾病蔓延の原因であると推論した。5.BG-FusariumはBOOTH(1971,1977)の分類体系に従いFusarium solani(Mart.)Sacc.に同定された。
  • BG-Fusariumに関する2・3の知見
    畑井 喜司雄, 江草 周三
    1978 年 12 巻 4 号 p. 225-231
    発行日: 1978/03/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1. 10~30℃に保存されたBG-Fusariumの分生子は140日後でもほとんど滅少せず生残した。5℃および37℃に保存した場合,5℃では海水中で140日後に,蒸留水中で70日後に検出不能となり,37℃ではそれぞれ105日後,21日後に検出不能となった。2. BG-FusariumはNaCI 0~0.5%加サブロー寒天平板上で最良の発育を示し,10%添加まで発育がみられた。またpH 4以上で良好な発育を示した。3. 供試したBG-Fusariumはすべてシクロヘキシミド耐性であったが,陸上由来のF.solaniにも耐性株がみられた。マラカイトグリーンは6.3μg/mlの濃度でその発育を抑制した。4. BG-Fusariumは成分濃度6.2ppmの塩素化イソシヌヌル酸溶液に10分間浸潰させることにより死滅した。
  • 人為感染試験による病原菌の選択
    木村 紀彦, 若林 久嗣, 工藤 重治
    1978 年 12 巻 4 号 p. 233-242
    発行日: 1978/03/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
    A gram-negative filamentous bacterium was isolated from the gills of salmonids, Salmo gairdneri and Oncorhynchus masou, with gill disease. The isolates did not show gliding movement. Growth on Cytophaga agar was pigmented yellow. Colonies were small, translucent, smooth and entire. There was no growth on nutrient agar and meat-extract broth. Acid was produced from glucose and sucrose. Growth was best at 15-20°C.
    Attempts succeeded in transmitting bacterial gill disease to fingerling trout by adding pure cultures of the bacterium in aquariums. The experimentlly infected gills showed essentially the same symptoms as seen in naturally occurred gill disease.
  • 養殖ニジマスの黒色腫
    水橋 福太郎, 宮崎 照雄, 窪田 三朗, 鎌田 淡紅郎
    1978 年 12 巻 4 号 p. 243-246
    発行日: 1978/03/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1.1974年滋賀県醒ヶ井養鱒試験場で採取されたニジマスの頭部にみられた黒色腫を病理組織学的に検討した。2.その結果,本腫瘍は真皮疎結合織を中心に形成され,実質としてのメラニン細胞と細い膠原線維を基質とした線維細胞およびその芽細胞から成っていた。メラニン細胞は異形像・分化程度の差異が著しいのが特徴であった。なお,他臓器への転移は認められなかった。
  • 鱗挿入法による感染方法と発病魚の症状
    有馬 多恵子, 高橋 耿之介
    1978 年 12 巻 4 号 p. 247-253
    発行日: 1978/03/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1)病魚を用いて確実に人工感染魚を作る方法として,患部周縁の発赤のみられる部位の鱗を健康魚の鱗の下に挿入することを試みた。2)患部の鱗を挿入することにより,約70%以上の高率で感染発病が成立し,自然発病魚に酷似した症状の進行を示した。3)鱗の挿入時間は1分間で十分であった。4)患部の鱗には本病の原因微生物が存在していると考えられた。
  • 胞子の注射による人為感染
    高橋 誓, 江草 周三
    1978 年 12 巻 4 号 p. 255-259
    発行日: 1978/03/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1.G. plecoglossiの胞子を蒸留水または0.85%NaCl溶液に懸濁させ,アユの躯幹背側背鰭側下の一点の皮下に0.05ml注射した。その結果22日および35日後には注射点の皮膚,皮下組織さらに表層に近い筋肉組織に多数のグルギアシストの形成が認めらた。さらに幽門垂,腹膜,生殖腺,蓄積脂肪体,肝臓,心臓,脾臓にもグルギアシストを認めた。2.同様に胞子の蒸留水懸濁液を腹腔内に0.1ml注射することにより,25日および31日後に幽門垂,腹膜,生殖腺,蓄積脂肪体,脾臓,鯉そして皮下組織または表層に近い筋肉組織内にグルギアシストの形成を認めた。3.現在までに魚類微胞子虫の注射による感染の報告はない。他の微胞子虫に対して同様に成立するか不明であるが,この方法によりG.plecoglossiの生物学的研究や治療法の研究には多いに役立つ。
  • 中島 健次, 江草 周三
    1978 年 12 巻 4 号 p. 261-263
    発行日: 1978/03/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
    In November, 1975, a clove worm was detected in the intestines of carp, Cyprinus carpio, which were collected in an irrigation pond farm in Gunma prefecture. They were six month old and 12.5-14.7 cm in body length. The worm was never found in carp which harbored another cestode, Bothriocephalus opsariichthydis YAMAGUTI. A monthly examination revealed that the number of the worm decreased rapidly after November and no worm could be detected from January to May. This suggested that the worm can not survive the winter.
    Ten worms fixed in 70% alcohol, stained with HE and mounted in balsam were observed:Body slender, 11.0-16.2 mm long by 0.8-2.4 mm wide; Scolex undifferentiated, conic or turncate, 1.2-2.7 mm wide; Cirrus pouch well developed, 0.52-0.68 mm long by 0.40-0.56 mm wide;Uterine coils between cirrus pouch and H-shaped ovary; Postovarian vitellaria medullary; Egg elliptical with thin shell, 44-50×22-34μ. The present worm was similar to the two species of the genus Khawia (Cestodaria:Caryophyllidae) in shape and size, K.japonensis (YAMAGUTI, 1934) YAMAGUTI, 1959 and K. sinensis HSÜ, 1935. These two species are distinguished only by the size of eggs, that is, the eggs of the former have been reported to be 48-57×36-42μ and those of the latter 42-48×25-30μ. Based on the egg size the present clove worm was identified as K. sinensis.
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