魚病研究
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魚類寄生グルゲア属3種の胞子SEM像
特にアユ寄生Glugea sp. AWAKURAに関する論議を中心として
中島 健次江草 周三
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1979 年 13 巻 3 号 p. 153-158

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抄録

 1.Glugea plecoglossi の生活胞子(琵琶湖産アユ)とホルマリン固定胞子(岡山県養殖フユ),G. anomalaの生活胞子(チェコスロバキア産トゲウオ),およびG.hertwigi canadensisの凍結胞子(カナダ産キュウリウオ類)を用い,常法に従って走査型電子顕微鏡用試料を作製,各々の表面構造と大きさを観察・測定した。2.G.plecoglossi の胞子は,ホルマリン固定の有無にかかわらず表面が平滑であった。ただし,ホルマリン固定胞子の中に1例だけ僅微な環状紋を有する個体が認められた。生活胞子を処理したSEM像での胞子径は4.39(3.9~5.1)×1.96(1.7~2.1)μ,ホルマリン固定胞子を処理した場合の大きさは4.06(3.3~4.6)×1.84(1.6~2.1)μであった。3.G.anomalaの胞子表面には顕著な皺と隆起帯が存在し,SEM像での胞子径は3.87(3.4~4.8)×1.81(1.5~2.0)μでった。4.G. hertwigi canadensisの胞子は,表面に粗大な横皺かもしくは繊細な縦皺と不明瞭な隆起帯があり,SEM像での大きさは3.44(3.1~3.8)×1.60(1.5~1.8)μであった。G. hertwigiよりも小形で胞子表面も若干異なるところから,亜種とするよりも独立種とみるべきではないかと考えられた。5.G.lugea sp.AWAKURAの有皺型胞子とG. plecoglossiおよびG. anomalaとの異同を論じ,胞子径が既知種と一致しないことから,新種の可能性を指摘した。

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