魚病研究
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養殖ウナギの主要細菌感染症の迅速診断システムに関する研究―I
免疫螢光直接法によるパラコロ病診断の基礎的検討
堀内 三津幸佐藤 勉高木 博元戸塚 耕二
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1980 年 15 巻 1 号 p. 49-55

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抄録
 養殖ウナギのパラコロ病の迅速診断に免疫螢光直接法を応用するため,基礎的な検討を行なったところ,以下のことが判明し,有用性の高いことが推察された。1)FITC標識抗 E. tarda E-8株家兎IgG(F/Pモル比:1.3)を作製し,これを人為感染魚のスタンプ標本に応用したところ,満足すべき特異反応性が確認された。2)本標識抗体はウナギ由来のE. tarda 18菌株に対し1:16ないし1:32の反応力価を有するが,E. tarda以外のウナギ由来病原細菌(V. anguillarum,Vibrio sp.,A. liquefaciens, Aeromonas sp.,F.columnarisおよびPs. anguilliseptica),アユ由来V. anguillarum,コイ由来A.liquefaciens,チダイ由来Ps. fluorescensおよびPs.putida(ATCC 12633株)とは反応せず,また,腸内細菌科のEscherichia coli, Salmonella sp.およびS. marcescensとも反応しなかった。3)スタンプ標本上のE. tardaの被染色性は,37℃に11日間放置しても安定であった。4)10%ホルマリン液にて固定した病魚材料への応用でも,螢光強度はわずかに弱まるものの特異螢光が確認された。
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© 日本魚病学会
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