抄録
ウイルス感染力価とインターフェロン産生能に及ぼす細胞密度の影響を明らかにし,ウイルスに対する細胞の干渉メカニズムの解明を試みた。供試細胞はRTG-2細胞であり,供試ウイルスはEVE, IPNV,IHNVである。 RTG-2細胞の繁茂状態をloosely confluent(6.0×104 cells/cm2)とtightly confluent(1.2×105cells/cm2)に分けた。ウィルス感染力価は細胞の繁茂状態が前者のときに高かった。後者の状態では前者の状態に比べ,その力価はブラック法で50~70%,マイクロタイター法で90~99%低かった。一方,インターフェロン産生量は細胞の繁茂状態がtightly confluentでloosely confluentより多かった。故に,細胞のtightly confluent状態でウイルス感染力価が低く測定される原因は,同細胞状態でのインターフェロン産生能の高まりにあると推察した。