魚病研究
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スルフイソゾール・トリメトプリム合剤のブリとウナギへの応用
藤原 善三加納 照正福井 晴朗
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1984 年 19 巻 1 号 p. 35-43

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抄録
 1. ブリ,ウナギ由来の魚病菌に対する3SI/TMPのin vitro抗菌力をしらべた。Streptococcus sp.をのぞく4種の供試株に高い感受性を示した。2. A.hydrophilaあるいはE. tarda実験感染ウナギ,およびV.anguillarumあるいはP.piscicida実験感染ブリに,3SI/TMPを経口投薬し,その効果をしらべた。3SI/TMP(5:1)を感染と同時に10~50mg/kg.b.w.投薬した場合,いずれも水産薬として汎用されている抗生物質と同等もしくはそれ以上のすぐれた効果を示した。3. 3SI/TMPを1回経口投薬したブリの組織内3SIとTMP濃度を経時的に測定した。3SIは血液と腎臓に,TMPは腎臓に高濃度に移行していた。各臓器の最高濃度は腎臓のTMPが投薬後12~18時間にみられたのをのぞけば,3SIおよびTMPとも3~6時間に認められた。4, 3SI/TMP50mg/kg b.w.を7日間投薬したブリの組織内TMPの残留をしらべた。血液,筋肉,肝臓に比較して腎臓,脾臓における残留は長期的で特に腎臓では1ヵ月後でも0.1ppm以上の検出が確認された。この傾向はウナギの腎臓でも同様であった。
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© 日本魚病学会
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