1984 年 19 巻 2 号 p. 81-87
フィリピンのイロイロ市(パナイ島)郊外にある東南アジア漁業開発センター(SEAFDEC)養殖部局(AQD)のレガネス分場で飼育されていたサバヒー(Milkfish, Chanos chanos)に脂瞼および眼球の両方,あるいはそのいずれかが白濁している病魚が認められた。それらの病変部から細菌の分離を試みたところ,ある種のVibrio が比較的優勢に出現した。病原性実験の結果,分離菌はサバヒー稚魚のみならず,ニホンウナギおよびマウスにも病原性を示した。またサバヒー稚魚の脂瞼部分をメスで傷つけ菌液に浸漬したところ,脂瞼の白濁を呈し死亡した。分離菌はVibrio parahaemolyticusもしくはV. alginolyticusによく似た性状を有していたが,既知のビブリオ属細菌のいずれにも同定できなかった。