抄録
1983年の8月末から10月下旬にかけて, 広島県三原市にある個人の庭池で飼育されていた60尾の錦ゴイCyprinus carpioに病気が発生し, そのほとんどが死亡した。魚病の体表および鰭には発赤が認められ, それらの腎臓, 脾臓および肝臓からEdwardsiella tardaが純粋に分離された。それらの分離株は錦ゴイのみならずニホンウナギAnguilla japonicaにも病原性を有することが筋肉内接種により認められた。 以上の結果から, これらの錦ゴイの死亡はE. tarda感染によるものと判断された。今回の症例はコイにおけるエドワジエラ症の最初の報告例と考えられる。