魚病研究
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アコヤガイに被害を与える多毛類の殺虫駆除に関する研究―I
殺虫効果と貝毒性
窪田 三朗伊藤 博敏
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1967 年 2 巻 1 号 p. 26-35

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抄録

 1. アコヤガイに被害を与える多毛類の殺虫駆除について数種の薬品でその殺虫効果を調べた。最も期得できる薬品はBayer 73(5-2'-dichloro-4'-nitrosalicylic anilideのmonoethanol amine塩)であることがわかった。2.Bayer 73海水溶液のアコヤガイに対する貝毒性は24時間LC50 0.31~0.18ppmであり,短時間薬浴ならば濃塩水処理よりも致死毒性が小さく,処理濃度は10~20ppm,処理時間は20~10分であり,最も適当な実用濃度と浸漬時間は15ppm,15分である。3.前記の実用濃度では,深く穿孔している場合を除いて多毛類(Polydar ciliata など)を十分に殺虫することができた。4. 多毛類の駆除方法は次の通りにするとよい。(1)アコヤガイを網籠のまま干出させる。干出時間は特に定めないが,ある程度水がきれれば良い。(2)薬液は15ppmとし, 薬浴時間は15分と定める。両者は厳守されなければならない。(3)処理後はアコヤガイをすみやかに海中にもどす。

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