魚病研究
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魚類病原ウイルスと環境由来微生物との相互作用:飼育用水中での生存性
吉水 守瀧澤 宏子亀井 勇統木村 喬久
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1986 年 21 巻 4 号 p. 223-231

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抄録
 サケ科魚類の3種の病原ウイルスIHNV,IPNV,OMVを対象に飼育用水,再蒸留水およびHanks' BSS中における0,5,10,15℃での消長を観察すると共に,飼育用水中に存在する微生物との相互作用を検討し以下のごとき結論を得た。1. IPNVは各供試水中でいずれの温度でも14日間安定であったが,IHNVでは特に飼育用水中で感染価の減少が観察され,それは温度が高くなるにつれ速やかであった。2. OMVはHanks'BSS中においても不安定で温度の上昇につれ速やかに不活化し,10,15℃では14日目には検出限界を下回った。飼育用水中では3~7日目に検出できなくなった。3. 飼育用水を濾過除菌してIHNVおよびOMVを懸濁した場合,無処理水に比し感染価の減少傾向は低下し,高圧滅菌した場合にはより安定であった。4. MEM 10を10%加え15℃で7日間培養した飼育用水の濾過除菌液にIHNVを懸濁した場合,5,15℃いずれにおいても3日目に検出限界を下回った。供試飼育用水の微生物叢の中では細菌が優勢で Achromobacter と Pseudomonas の両者が7:3の割合を成していた。5. 分離した Pseudomonas の代表株に抗IHNV作用を有する物質の産性能が認められた。
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© 日本魚病学会
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