魚病研究
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魚類の補体代替経路の特性
矢野 友紀藤木 和浩中尾 実樹松山 博子
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1988 年 23 巻 4 号 p. 213-217

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抄録
 1. 魚類の補体代替経路の2価陽イオン要求性を調べるために,あらかじめ2価陽イオンと自然抗体を除去したニジマス,アユ,コイ,ティラピア,ブリ,マダイおよびヒラメの血清に各種金属イオンを添加してウサギ赤血球に対する溶血反応を行った。その結果,全ての魚種でMg2+以外にCo2+とNi2+の添加によって溶血が起きた。また,魚種によってはCa2+,Mn2+,Zn2+,Sr2+またはCd2+の添加によっても溶血が起きた。なお,コイの血清がCa2+のみの存在下でウサギ赤血球を溶血したことは,Ca2+が血清常成分であるだけに注目に値する。2. 魚類の血清は哺乳類の血清と異なって,MgEGTA存在下でウサギ赤血球のみならず,ヒツジ赤血球をも溶血し,特に,ブリとヒラメにおいてはその溶血率はウサギ赤血球の溶血率の60~85%にも達した。3. 魚類の補体代替経路によるヒツジ赤血球の溶血率は,ノイラミニダーゼ処理によって増大した。このことは魚類の補体代替経路の活性化には標的細胞膜のシアル酸含量が影響を与えることを示唆している。
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