A.salmonicida, V. anguillarumならびにV. ordaliiに対する消毒薬5種,ピューラックス,塩化ベンザルコニウム液,水産用イソジン液,クレゾール石けん液,ホルムアルデヒド液の濃度と殺菌力の関係,ならびに殺菌力に及ぼす初発菌数,共存有機物,温度,硬水,海水の影響をkilling-curve testによって調べた。得られた結果は次の通りである。(1) 3菌種の消毒薬に対する抵抗性に大きな差は認められなかった。20℃において,1分以内に105 cfu/m1の供試菌を10 cfu/ml以下にまで殺菌する濃度は,ピューラックスで10ppm,水産用イソジン液で10~30ppm,塩化ベンザルコニウム液で0.03~O.1%,クレゾール石けん液で0.3%,ホルムアルデヒド液では1%以上であり,有機物の混入がない場合は常用濃度以下で十分殺菌効果が認められた。(2) ピューラックス,水産用イソジン液は細菌数が多いときや有機物が多量に混入したときには,殺菌力が著しく低下した。(3) クレゾール石けん液,塩化ベンザルコニウム液,およびホルムアルデヒド液は温度が低下するにしたがって顕著に殺菌力が低下した。(4) 硬水はクレゾール石けん液など,海水は水産用イソジン液などの殺菌力を低下させた。(5) したがって,消毒薬を用いるときはその性質を良く把握して,十分に殺菌効果が発揮されるような条件で用いることが大切と考えられた。
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