抄録
(1) マダイ稚魚の微胞子虫の体側筋寄生によるべこ病は解剖学的・病理組織学的にブリ幼魚のぺこ病に酷似していた。(2) 体側筋内の微胞子虫は団塊を形成し,団塊の形態・構造およびそれを構成する胞子形成過程の数段階の細胞の形態はブリ幼魚のべこ病病原体Microsporidium seriolaeのそれらに殆ど一致し,マダイ種もMicrosporidiumに分類された。(3) マダイ種とM.seriolaeとの間には胞子の大きさと宿主に相違があるが,それらは両者を別種とするには必ずしも十分な根拠とは考えられず,マダイ種は当面Microsporidium sp.と呼ぶことを提案した。