抄録
本研究では, 1986年, 1988年に広島県水産試験場と三重県水産技術センターにおいて種苗生産中のヒラメの仔魚に発生した腸管白濁症の病魚を採取し, 病理組織学的特徴を明らかにするとともに蛍光抗体法により病巣中の病原細菌Vibrio sp.INFL群の状態についても検討を加えた。その結果, 白化した腸管病巣では腸管後半部から直腸の粘膜を細菌が侵襲して増殖し, 剥離性腸炎が惹き起こされているのが特徴であった。この腸管粘膜の初期病巣と発達した病巣ともに, Vibrio sp.INFL細菌群が病巣形成の主体となっていることが間接蛍光抗体法で確認された