抄録
粘液胞子虫Hoferellus carassii(=Mitraspora cyprini)の魚体内における発達と宿主側の変化を腎腫大発症魚を材料とし光顕, 電顕により観察した。若い栄養体は腎臓尿細管の上皮細胞内でさかんに分裂し, その度毎に宿主細胞も分裂, 増殖させるため腎腫大となった。寄生体は内部分裂により多重構造となり, 管腔内移行, 胞子形成とステージの進行に伴い外側の細胞から崩壊し, 内側の細胞が分化していく過程, および幼若な栄養体の再生産が胞子形成期にも継続する様子が観察された。