魚病研究
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養殖アユにみられた抗酸菌性全身性多発性肉芽腫形成について
和田 新平早川 穣ウィナイ ルバンヂョンディー畑井 喜司雄窪田 三朗石井 日出郎
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1991 年 26 巻 3 号 p. 127-131

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抄録
 1.1989年および1990年に栃木県下の一養魚場で飼育中のアユに原因不明の斃死がみられたので, 病理組織学的に検査した。2. 供試魚は肉眼的に大小様々な白色結節が肝臓, 腎臓, 脾臓, 心臓, 鰓弁, 消化管および躯幹筋に多数形成されており, これらは組織学的に成熟型肉芽腫ないしは未熟型類上皮細胞性肉芽腫と判断された。3. これらの肉芽腫内部には, グラム染色に陽性を示す長桿菌が認められた。これら長桿菌の一部はチール・ネルゼン染色およびグロコット染色にも陽性を示したことから, 抗酸菌であると考えられた。電顕観察の結果, これら長桿菌の直径は約0.5μmであった。4.以上の所見から, 本症例を病理組織学的に抗酸菌性全身性多発性肉芽腫形成と診断した。
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