魚病研究
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26 巻, 3 号
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  • L.-C. Tung, S.-N. Chen, G.-H. Kou
    1991 年 26 巻 3 号 p. 109-117
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     クロダイの脾臓と腎臓から3種の細胞系を作出し, BPS-1, BPS-4, BPKと命名した。BPS-1は上皮細胞系, BPS-4は繊維芽細胞系, BPKは両者の混合系であった。いずれも仔牛胎児血清を加えたLeibocitz-15倍地で87代以上維代されている。3細胞系ともIPNウイルスの複数の分離株(ハマグリ, ウナギ由来)や種々の血清型(Ab, VR-299, SP), 台湾で分離されたウナギ由来のヘルペスウィルスに感受性が認められた。
  • Chu-Fang Lo, Chung-Hsiung Wang, Mau-Shain Lin, Guang-Hsiung Kou
    1991 年 26 巻 3 号 p. 119-125
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     テラピアの細胞系(TO-2)を用いた連続無希釈継代培養によってIPNウィルス(HB-1株)のDI粒子(欠陥干渉粒子)が産生された。無希釈継代培養由来のポリペプチドとRNAを希釈継代培養で得たもの比較したところ, 前者のウィルス粒子のβポリペプチドの質量は小さく, 通常のゲノムより小さいRNAが存在した。このことからDI粒子は通常のウィルスのミュータントであることが示唆された。本研究はこうしたポリペプチドとRNAがDI粒子に関連することを示す最初の報告である。
  • 和田 新平, 早川 穣, ウィナイ ルバンヂョンディー, 畑井 喜司雄, 窪田 三朗, 石井 日出郎
    1991 年 26 巻 3 号 p. 127-131
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1.1989年および1990年に栃木県下の一養魚場で飼育中のアユに原因不明の斃死がみられたので, 病理組織学的に検査した。2. 供試魚は肉眼的に大小様々な白色結節が肝臓, 腎臓, 脾臓, 心臓, 鰓弁, 消化管および躯幹筋に多数形成されており, これらは組織学的に成熟型肉芽腫ないしは未熟型類上皮細胞性肉芽腫と判断された。3. これらの肉芽腫内部には, グラム染色に陽性を示す長桿菌が認められた。これら長桿菌の一部はチール・ネルゼン染色およびグロコット染色にも陽性を示したことから, 抗酸菌であると考えられた。電顕観察の結果, これら長桿菌の直径は約0.5μmであった。4.以上の所見から, 本症例を病理組織学的に抗酸菌性全身性多発性肉芽腫形成と診断した。
  • 横山 博, 小川 和夫, 若林 久嗣
    1991 年 26 巻 3 号 p. 133-138
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     キンギョ養魚池のエラミミズ(Branchiura sowerbyi)に寄生する放線胞子虫を集め, キンギョへの感染事件を試みた。ミミズを破砕または飼育槽水を濾過して集めた放線胞子虫寄生ミミズ群との同居飼育では3種類の粘液胞子虫が感染した。さらにCell-Wellプレート(各2ml)中で個体飼育したミミズから無傷の放線胞子虫が大量に単離され, 感染実験では放線胞子虫Raabeiaがキンギョ体内でMyxobolusに変態したことを確認した。
  • サケマス増殖事業におけるせっそう病の疫学的研究―I
    野村 哲一, 吉水 守, 木村 喬久
    1991 年 26 巻 3 号 p. 139-147
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1979年から1990年までの12年間にわたり北海道内の主要なサケマス増殖河川に湖上したサケ, カラフトマス及びサクラマス成熟親魚を対象に, A.salmonicida保有状況を調査し以下の結果を得た。1.供試したサケ9,434尾, カラフトマス3,165尾及びサクラマス2,665尾の雌成熟親魚のそれぞれ13.2%, 4.6%, 1.8%からA.salmonicidaが検出された。2. サケ成熟親魚では調査した28河川中18河川から, カラフトマスでは14河川中9河川から, サクラマスでは10河川中6河川の雌成熟親魚からA.salmonicidaが検出され, A.salmonicidaは津軽海峡から内浦湾までの太平洋沿岸を除く広い地域に分布していると考えられた。3. 石狩川の雌成熟親魚からのA.salmonicidaの検出率は10月上旬から中旬に上昇し, 最高は80%にも達した。これは, 成熟親魚の催熟蓄養尾数が増加することに原因すると考えられた。4.雌成熟親魚の腎臓中のA.salmonicidaの生菌数は105 cfu/g以下であり, 雌成熟親魚にせっそう病による死亡がみられないのは, 腎臓中の生菌数が少なく, 不顕性感染の状態にあるためと考えられた。 5.A.salmonicidaがサケ親魚から検出された河川は, 採卵数が北海道全体の34%に達するサケマス増殖事業の主要な河川であり, 資源造成を目的とした卵の移殖に伴い, A.salmonicidaの分布域がさらに拡大されるおそれがあり, また親魚から卵及び稚魚への伝播の危険性も懸念された。
  • サケマス増殖事業におけるせっそう病の疫学的研究―II
    野村 哲一, 吉水 守, 木村 喬久
    1991 年 26 巻 3 号 p. 149-153
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     種々の生活期のサケ及びサクラマス幼魚におけるA.salmonicidaの保有状況を検討し以下の結果を得た。1.沿岸に回帰したサケ雌成魚の腎臓からはA.salmonicidaは検出されなかった。2.石狩川, 標津川及び西別川のサケ未成熟雌親魚からのA.salmonicidaの検出率は成熟雌親魚の検出率に比べ有意に低い値を示した。3.卵, サケ稚魚及びサクラマス幼魚からはA.salmonicidaは検出されなかった。4.以上の結果から成熟親魚から高率に分離されるA.salmonicidaの感染時期は河川湖上以降と判断された。
  • 江草 周三
    1991 年 26 巻 3 号 p. 155-156
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
     上湾症ブリの脊椎骨変形の特徴を知るため, 取り出した脊柱の感想標本の肉眼的および軟X線による観察, また屈折部前後の椎体の断面の観察を行った。脊柱は第15~19椎体, とくに第16~18椎体の間の1箇所の関節で屈折していた。屈折点直前と直後の椎体はそれぞれ後部または前部の円錐部の上部末端が押し付けあったように曲がっており, そのために椎体背側の長さがやや短縮した台形変形を呈し, これが脊柱屈折をもたらしていた。屈折の原因を知る手掛りは得られなかった。
  • 中津川 俊雄
    1991 年 26 巻 3 号 p. 157-158
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     クロアワビ稚貝の中間育成中に大量死亡を引き起こす本疾病においては, 病状の進行が昇温によって抑制される傾向がみられる。この点を確かめるために, 本疾病に自然罹病し死亡し始めたばかりの飼育群を, 試験群(水温26℃)と対照群(自然水温)の2群に分け, 66日間飼育を行った。その結果, 試験群では昇温後10日以降死亡率が急減し, 20日後以降死亡は非常に少なくなり, 生存率は57%であった。対照群では飼育期間中だらだら死亡し, 生存率は41%であった。したがって, 加温処理は本疾病に対して抑制効果があると判断された。
  • 酒井 正博, 厚田 静男, 小林 正典
    1991 年 26 巻 3 号 p. 159-160
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     BKDの原因菌であるRenibacterium salmoninarumに対するシロザケ, ギンザケ, ニジマス, ヤマメ及びイワナの感受性をそれぞれの魚に10 8及び10 7cells/fishの菌量を腹腔内に注射することによって調べた。最も感受性が高かったのは, シロザケであり, 10 7cells/fish注射区でわずかに40尾中1尾生存したのみであった。次に感受性が高かったのは, ギンザケとヤマメでニジマスとイワナは感受性が低かった。しかし供試魚の魚体重を考慮すると, それらの差はあまり大きなものではなかった。
  • 浦和 茂彦, 加藤 禎一
    1991 年 26 巻 3 号 p. 161-162
    発行日: 1991/09/15
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1988年夏, 北海道オホーツク海沿岸に位置する藻琴湖(汽水湖)で飼育されていたニジマスの体表に橈脚類Celigus orientalisが大量寄生し, 飼育魚は摂餌を停止して1カ月ほどでほぼ全滅した。寄生部位は白斑状となり, 表皮は本虫の摂餌活動によって破壊されていた。病魚を試験的に5日間淡水中で飼育したところ, 食欲は回復したが, 寄生虫を完全に駆除することはできなかった。ウグイ, ボラ, ワカサギなど天然魚にも寄生がみられたことから, これらが感染源と判断された。
  • 1991 年 26 巻 3 号 p. 168
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
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