1992 年 27 巻 1 号 p. 29-37
サケ稚魚の成長と生残に対する T.truttae 寄生の影響および宿主の防御反応を感染実験により検討した。平均寄生数は感染2週間後より急増し, 3週間目に 5,700虫体になった後, 減少した。感染魚は異常な行動を示し, 6週間の累積死亡率は56%に達したが, 成長や海水適応能力は有意は影響を受けなかった。寄生により宿主上皮表面に PAS 陽性粘液細胞が大量に出現し, 寄生数が減少したことから, 本粘液細胞の増加が外部寄生虫に対する有効な防御機構として作用することが示唆された。