抄録
長崎県の養殖マダイの鰭に寄生する単生類を A. tai として新種記載した. 新種は地中海のタイ科魚に寄生する A. richiardii に最もよく似るが, 体が小型であること, 雄性交接器が大きいことでくべつされた. 重篤寄生魚は痩せ, 鰭の一部欠損が認められた. 固着部の鰭の上皮は失われていたが, 虫体の周囲には上皮増生が見られた. 固着部の宿主組織は固着盤によって持上がり, そこに炎症細胞が大量に浸潤していた. 固着盤によって皮膚組織が掴み取られている箇所も見られたが, こうした部位では鰭の部分欠損に至ると推察された.