抄録
1992年の4月から12月にかけ, 福山市内の2つのヒラメ養殖場においてEdwardsiella tardaの生態学的調査を行った. その結果, 養殖池の海水, 池底の沈殿物および外見上健康なヒラメからE. tardaが検出された. 分離された28株のE. tardaは同一の血清型に入り, 調べた16株中の15株はヒラメに病原性を示した. 室内実験における分離株の海水中での生存時間は淡水中に比べて短かった. 以上の結果から, 今回調査したヒラメ養殖場の環境中にはヒラメに病原性を有し単一の血清型に属するE. tardaが存在することが分かった.