抄録
1. ハマチ・カンパチなどに発生するノカルジア症の病理組織学的・組織化学的研究を行なった。2. 本症の主要症状は結節および膿瘍の形成であり,それらの病理学的成因について考察した。3. 本症と結核症の結節の構造上相違点はノカルジア結節にはラングハンス氏多核巨細胞がなく,巨大核細胞が存在することである。4. 器官による結節の形態上の相違と器質化による包嚢の形成について述べ,心臓のノカルジア結節には特異性があることを指適した。5. 結節が実質におよぼす影響と,結節に関係なく本症が実質臓器に与える異常について述べた。6. 結節と膿瘍中の脂質とカルシウムについて組織化学的な検出を行ない,それらについて考察した。7. 病理学的な見地から本病の化学療法が必らずしも容易でないことを指摘した。