2024 年 53 巻 3 号 p. 100-104
症例は78歳男性.32年前に重度三尖弁閉鎖不全症に対して生体弁による三尖弁置換術と心外膜ペースメーカー植込み術を施行された.発熱と腰痛を主訴に近医を受診し,血液培養にてStreptococcus oralisが検出された.心エコーにて三尖弁位に付着する可動性疣贅と中等度三尖弁逆流を認めたため三尖弁位人工弁感染性心内膜炎と診断し,疣腫摘出および三尖弁再置換術を施行した.術後は6週間の抗生剤治療により炎症反応の鎮静化が維持され,術後49日目にリハビリ転院となった.術後6カ月経過したが,感染の再発兆候は認めていない.三尖弁位人工弁感染性心内膜炎に対して再弁置換術が奏功した症例を経験したので報告する.