抄録
1991年から1994年にかけて, 9月から12月の水温下降期(17~24℃)に大分県と愛媛県の複数の養殖場で, 体重2~22gのヒラメ0才魚に外観上の顕著な症状を伴わない死亡が発生した. 本病は塩酸オキシテトラサイクリン等の経口投与により終息したが, 日間0.01~0.6%の死亡が4~10日間継続し, 累積死亡率は0.6~4.8%であった. 病魚の腎臓から一種類の細菌が純培養状に分離され, 生物学的, 生化学的および血清学的性状から Pasteurella piscicida に同定された. また, 水温約18℃における感染実験で分離菌のヒラメに対する病原性が確認された.