抄録
浮腫を伴うコイ稚魚の大量死の原因を検討した。病魚の磨砕ろ液の接種により, 致死性が確認され, 浮腫が再現された。ウイルスは培養できなかったが, 電顕観察により自然発病魚と実験感染瀕死魚の両者の鰓薄板上皮細胞にポックス様ウイルス(335nm×265nm)が観察された。病魚の組織の定量的実験感染では, 病原体の80%以上が鰓に存在した。濾過試験からの病原体の大きさは200nm以上, 400nm以下であった。病原体の大きさ, 魚体内分布ともに, 上記ウイルス粒子の電顕観察結果と一致したことから, 本ウイルスが本疾病の病原体であると判断された。