抄録
真菌性肉芽腫症の原因菌であるAphanomyces piscicidaに対し, コイ血清は殺真菌活性を持つことを明らかにした。A. piscicidaの胞子とコイ血清を混合培養後, 顕微鏡にて観察したところ, コイ血清は, 胞子の発芽および発芽後の菌糸の発育を抑制し, 菌糸原型質を褐色に変化させ, それらの菌を死滅させることが確認された。試験に用いた多くのコイ(55尾中44尾)に本活性が認められた。血清中の抗菌因子は, 50℃, 30分間の処理で失活せず, ザイモザン処理による影響を受けず, 100kDa以下の低分子であることが示唆された。