抄録
天然ヒラメに発生している貧血症の血液学的特性を解析した。 羅患魚では, Hb量, 血球数, MCHおよびMCHCの明確な減少が見られ, 血球容積も減少傾向にあった。 貧血魚赤血球の光顕観察では, 輪郭の変形, 小球化, 細胞質の染色性の低下や空砲化などの形態異常を伴った幼若および成熟赤血球が認められた。 電顕観察により, 細胞質内の電子密度の低下が認められ, Hb量の不足が示唆された。 以上の結果から, 本貧血症の病態は, 血球形態異常および赤血球減少を伴った低色素性小球性貧血と考えられた。