ヒラメ貧血症の原因究明の一環として, 無給餌あるいは給餌状態で反復採血をおこなうことによって貧血ヒラメを作出し, その血液性状の変化を調べた。 その結果, 無給餌・採血区において, 天然貧血魚と同様の著しい低色素性小球性貧血と赤血球の形態異常が再現された。 このことから, ヒラメ貧血症は単生類 Neoheterobothrium hirame の吸血を原因とする従来の説が強く支持された。 また, 作出した貧血魚が貧血から回復するには給餌をしても長期間要したことから, 虫体の存在しない天然貧血魚は虫体脱落後の回復過程にあることが示唆された。