家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
症例報告
乳癌–甲状腺癌家系
伊藤 康平野水 整山田 睦夫片方 直人渡辺 文明八巻 義雄福島 俊彦鈴木 眞一土屋 敦雄竹之下 誠一阿部 力哉
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ジャーナル オープンアクセス

2001 年 1 巻 2 号 p. 63-65

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抄録
家族性乳癌の家系内腫瘍スペクトラムでは,甲状腺癌は頻度の高い腫瘍である.また乳癌の重複癌からみても甲状腺癌は頻度の高いものである.われわれは乳癌と甲状腺癌の集積の著明な家系を経験したので報告する.これらの家系での遺伝子検索はほとんどなされていないが,BRCA 遺伝子関連家族性乳癌に甲状腺癌が発生したと考えられるような家系と,それとは全く別に乳癌と甲状腺癌の集積した家系が存在するように思われる.前者では甲状腺癌の発生にBRCA 遺伝子がどのように関連しているか明確にはなっていないし,後者では原因遺伝子の候補もまだ見つかっていない.しかし,癌家族歴を丹念に聴取することで癌集積家系を明らかにすることは,家族性癌の研究上重要なことと思われる.
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© 2001 The Japanese Society for Familial Tumors
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