家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
特集1:遺伝性褐色細胞腫
遺伝性褐色細胞腫の遺伝子診断:わが国の現状,その有用性と限界
竹越 一博 児玉 ひとみ緑川 早苗新里 寿美子磯部 和正川上 康櫻井 晃洋
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2010 年 10 巻 1 号 p. 6-12

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抄録
褐色細胞腫の遺伝子診断は,今世紀に入り大きく考え方が変わった分野である.その理由は,①近年のSDHBおよびSDHDの発見,②臨床的に散発性でも潜在的な遺伝性である可能性があると判明したこと,③悪性化と関係する遺伝子(SDHB)が判明したことに集約される.遺伝性の頻度は,以前から知られていたVHL・RET・NF1に①②を加えると「10 %ルール」で言うところの 10 %よりかなり高く25 %程度と見積もられる.この中でSDHB・SDHDはTCA 回路のコハク酸脱水素酵素サブユニットをコードする遺伝子であり,特にSDHB・SDHD変異による遺伝性褐色細胞腫・パラガングリオーマをhereditary pheochromocytoma/ paraganglioma syndrome「HPPS」と呼ぶことが多い.SDHBの変異は腹部の副腎外褐色細胞腫(パラガングリオーマ)から発症し,その後高率に遠隔転移(悪性化)する.SDHDの変異は頭頸部の多発性パラガングリオーマを発症する(悪性化は少ない).SDHB,SDHDについてはその遺伝子診断の臨床的有用性はまだ不明な部分も多いが,現在進行中である国内での多施設共同研究を通して,今後同検査が褐色細胞腫診断の標準的医療の一部と認知されるようにしたいと考える.
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© 2010 The Japanese Society for Familial Tumors
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