家族性腫瘍
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10 巻, 1 号
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特集1:遺伝性褐色細胞腫
  • 櫻井 晃洋
    2010 年10 巻1 号 p. 1-
    発行日: 2010年
    公開日: 2018/12/11
    ジャーナル オープンアクセス
  • 櫻井 晃洋
    2010 年10 巻1 号 p. 2-5
    発行日: 2010年
    公開日: 2018/12/11
    ジャーナル オープンアクセス
    21 世紀の初頭,コハク酸脱水素酵素のサブユニットをコードする複数の遺伝子が褐色細胞腫の原因遺伝子として同定された.その後の解析研究で,これら遺伝子の生殖細胞系列変異による褐色細胞腫が予想以上に多いことが明らかとなり,遺伝性褐色細胞腫という疾患概念が確立した.海外では褐色細胞腫患者の遺伝子解析が精力的に行われ,臨床像との関連や浸透率などについて知見が蓄積されつつある.日本でも今後この方面での研究の進展が求められている.
  • 竹越 一博, 児玉 ひとみ, 緑川 早苗, 新里 寿美子, 磯部 和正, 川上 康, 櫻井 晃洋
    2010 年10 巻1 号 p. 6-12
    発行日: 2010年
    公開日: 2018/12/11
    ジャーナル オープンアクセス
    褐色細胞腫の遺伝子診断は,今世紀に入り大きく考え方が変わった分野である.その理由は,①近年のSDHBおよびSDHDの発見,②臨床的に散発性でも潜在的な遺伝性である可能性があると判明したこと,③悪性化と関係する遺伝子(SDHB)が判明したことに集約される.遺伝性の頻度は,以前から知られていたVHL・RET・NF1に①②を加えると「10 %ルール」で言うところの 10 %よりかなり高く25 %程度と見積もられる.この中でSDHB・SDHDはTCA 回路のコハク酸脱水素酵素サブユニットをコードする遺伝子であり,特にSDHB・SDHD変異による遺伝性褐色細胞腫・パラガングリオーマをhereditary pheochromocytoma/ paraganglioma syndrome「HPPS」と呼ぶことが多い.SDHBの変異は腹部の副腎外褐色細胞腫(パラガングリオーマ)から発症し,その後高率に遠隔転移(悪性化)する.SDHDの変異は頭頸部の多発性パラガングリオーマを発症する(悪性化は少ない).SDHB,SDHDについてはその遺伝子診断の臨床的有用性はまだ不明な部分も多いが,現在進行中である国内での多施設共同研究を通して,今後同検査が褐色細胞腫診断の標準的医療の一部と認知されるようにしたいと考える.
  • 方波見 卓行, 小林 鈴子, 田中 逸
    2010 年10 巻1 号 p. 13-17
    発行日: 2010年
    公開日: 2018/12/11
    ジャーナル オープンアクセス
    褐色細胞腫(パラガングリオーマ)は,副腎髄質または副腎外交感神経節のクロム親和性細胞に由来するカテコラミン(CA)産生腫瘍である.本症の術前診断と治療法の決定は他のホルモン産生腫瘍に比べ容易である.しかし褐色細胞腫では生命にかかわる危機的状況(高血圧クリーゼ)に陥る可能性や,良悪性の病理学的な判定が困難にもかかわらず,悪性例が10 %以上存在するといった重要な問題がある.そこで本稿では,褐色細胞腫の診断と悪性例における内科・放射線治療の現状と課題を自験の結果も含め紹介した.
  • 山﨑 一郎, 執印 太郎
    2010 年10 巻1 号 p. 18-20
    発行日: 2010年
    公開日: 2018/12/11
    ジャーナル オープンアクセス
    1950 年代には,褐色細胞腫の手術に伴い20 〜45 %の手術関連死が報告されていたが,α1 受容体遮断薬が使用されるようになり,1970 年代には手術関連死が約3 〜4 %まで減少し,近年の画像診断の進歩に伴いさらに手術関連死は減少しているが,内科医,外科医,麻酔科医の連携が重要である.副腎皮質腫瘍に対する腹腔鏡手術は,その低侵襲性により標準術式となってきた.褐色細胞腫も例外でなく,直径6 cm までの腫瘍に対しては,腹腔鏡手術のほうが,侵襲が少なく安全に施行できるとする報告が多い.遺伝性褐色細胞腫は,悪性褐色細胞腫の頻度や腫瘍が多発する頻度が原因疾患ごとに異なるため,原因疾患ごとに分けて考える必要がある.MEM2,VHL,PGL1 の様な悪性例は少ないが多発する褐色細胞腫に対しては,積極的に副腎温存を図り,長期間のステロイドホルモン補充や急性副腎不全を生じることがないよう慎重な判断が必要である.
特集2:家族性大腸癌診療における標準化の意義と課題
  • 岩間 毅夫
    2010 年10 巻1 号 p. 21-22
    発行日: 2010年
    公開日: 2018/12/11
    ジャーナル オープンアクセス
  • 松原 長秀, 冨田 尚裕
    2010 年10 巻1 号 p. 23-26
    発行日: 2010年
    公開日: 2018/12/11
    ジャーナル オープンアクセス
    リンチ症候群は,ICG-HNPCC, InSiGHT を中心に診断・治療・研究面で格段の進歩をとげてきた.しかし,病因がミスマッチ修復遺伝子群の機能不全に起因することがわかってきたものの,依然研究段階の部分もあり,また疾患の特殊性からevidence を構築しにくい.このような状況にあって,この究極の大腸癌ハイリスク患者を一人でも救うために,専門家でない医療関係者が手軽に参考にでき,診断治療の手がかりになる指針(ガイドライン)の作成が求められている.診断手順の標準化の意義と課題について言及する.
  • 小山 基, 村田 暁彦, 坂本 義之, 諸橋 一, 木村 憲央, 袴田 健一, 森田 隆幸
    2010 年10 巻1 号 p. 27-31
    発行日: 2010年
    公開日: 2018/12/11
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:家族性大腸腺腫症(FAP)に対する予防的大腸手術の治療戦略について,術式別の長期術後成績とAPC遺伝子変異部位からみた臨床的特徴により検討を加えた.対象:過去35 年間のFAP 73 例を対象とした.術式の内訳は回腸直腸吻合術(IRA)30 例,回腸肛門管吻合術(IACA)22 例,回腸肛門吻合術(IAA)8 例,その他13例.APC 遺伝子変異部位の検索にはProtein Truncation Test(PTT) 法を用いた.結果:平均追跡期間21.7 年でIRA は30 例中9 例(30%)で残存直腸発癌を認め,5 例が残存直腸発癌のため死の転帰をとった.IACA とIAAでは術後11.4 年と15.8 年の長期経過において残存直腸発癌は認めていない.密生型の28 例のうち24 例はsystem C, D(C: codon 658–1283, D: 1099–1700)領域の変異であり,特に直腸密生型の15 例中11 例はsystemD であった.平均発癌年齢はsystem A, B(A: codon 2–479, B: 348–785 )が42.3 歳,system C, Dが28.8 歳で,system C, D では密生型や若齢での進行癌が多く認められた.結語: system C, D の症例に対しては診断が確定した時点でIAA を施行すべきであり,system A, B では20 代前半までにIACA を選択すべきである.一方,IRA の適応は高齢者のattenuated FAP などのきわめて限られた症例であることが確認できた.
  • 新井 正美, 小川 大志, 千野 晶子, 倉岡 賢輔, 山本 頼正, 藤崎 順子, 五十嵐 正広, 上野 雅資, 藤本 佳也, 黒柳 洋弥, ...
    2010 年10 巻1 号 p. 32-38
    発行日: 2010年
    公開日: 2018/12/11
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】Lynch 症候群患者のサーベイランスにおける大腸内視鏡検査(CS)および上部消化管内視鏡検査(UGI)における有所見率および病理学的所見を比較検討して,その意義を考察する.【対象と方法】2009 年12 月時点で癌研有明病院にて2 年間以上Lynch 症候群としてサーベイランスを行っている42 例を対象とした.サーベイランスの所見を2005 年まで遡り,過去5 年間の腫瘍の発生率や発生した腺腫や癌の臨床的および病理学的特徴を検討した.【結果と考察】対象者のフォローアップ期間内に大腸癌5 例(7 病変),胃癌4 例(5 病変),十二指腸癌2 例(2 病変)を認めた.また大腸腺腫を57 病変確認し内視鏡的に摘除した.1 回あたりの内視鏡検査における癌の発見リスクはCS で3.1 %, UGI で4.2 %であり,大腸癌の発見リスクはむしろ胃癌や十二指腸癌の発見回数よりも低くなっており,年1 回のCS により,大腸腺腫を摘除することによる大腸癌発生リスク低下の効果を示すものと考えられた.内視鏡切除で治療を完結できなかった大腸癌はいずれも前回内視鏡から2 年以上経過していた症例であり,年1回のCS は妥当な検査間隔と考えられる.一方,上部消化管内視鏡では年1 回実施していても,発見された粘膜内胃癌は4 例中1 例のみであり,内視鏡治療が可能な段階で早期発見は難しいと考えられる.しかし,サーベイランスとして上部消化管癌に対して生命予後改善を目的に実施するのであれば年1 回UGI を施行する必要があると思われた.
  • 岩間 毅夫
    2010 年10 巻1 号 p. 39-41
    発行日: 2010年
    公開日: 2018/12/11
    ジャーナル オープンアクセス
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