家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
特集:遺伝医療としてのMEN(多発性内分泌腫瘍症)
多発性内分泌腫瘍症研究コンソーシアム:これまでの成果と今後
櫻井 晃洋
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 12 巻 1 号 p. 2-6

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抄録

日本を含むアジア諸国では,西欧諸国に比べ多発性内分泌腫瘍症に対する認識が十分とはいえず,このため患者の臨床像や治療の実態についての包括的な調査も行われたことがなかった.このため著者らは2008 年にMEN コンソーシアムを設立し,1)わが国における診療実態の把握と診療指針の作成,2)基礎研究の推進,3)診断・治療法の向上,4)遺伝医療の普及啓発活動,5)患者支援,などを柱として活動を続けてきた.症例登録については,これまでにMEN1,MEN2 のそれぞれで約500 例の詳細な臨床情報が登録されるにいたった.これはアジアでは最大,世界でも有数の症例数と情報量を有するデータベースである.今後はこれらの情報を解析し,広く利用できるような形での情報公開をするべく準備を進めている.日本人MEN 患者の診療実態を明確にしていくことは,将来的な本症の診療の向上に不可欠であり,MEN コンソーシアムは,自らの活動がその一端を担うことを目指して活動している.

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© 2012 The Japanese Society for Familial Tumors
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