家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
特集:遺伝性乳がん卵巣がんの現状−問題点と展望
乳がん罹患後に発見された卵巣がん,腹膜がん症例
白山 裕子 松元 隆増田 春菜大住 省三
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 13 巻 2 号 p. 49-51

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抄録
遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)の原因遺伝子はBRCA1BRCA2 であり,病的変異を有すると乳がんに罹患する頻度は50 〜80 %,卵巣がんは10 〜40 %とされている.今回,乳がん罹患後に卵巣がん・腹膜がんを発症した7 症例の臨床的事項を検討し,HBOC が疑われる症例におけるサーベイランスについて考察した.乳がん発症から卵巣がん・腹膜がん・卵管がん発症までの期間は4 〜14 年であった.また診断時の臨床進行期はIIIc 期5 例,IV 期2 例と全例進行がんであり,卵巣がん・腹膜がんが発見された契機は,自覚症状なくフォローアップの画像診断であったのが2 例,腹部症状の出現であったのが5 例であった.HBOC が疑われる症例においてCT 等の画像診断を用いたサーベイランスだけでは卵巣がん・腹膜がんの早期発見はやはり困難と思われた.乳がん発症から卵巣がん・腹膜がん発症までの期間が長いことから,詳細な家族歴聴取を再度行うことで改めてリスクの高い患者,家族のピックアップに役立つと考えられた.
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© 2013 The Japanese Society for Familial Tumors
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