家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
特集:遺伝性乳がん・卵巣がん
家族性乳がん遺伝子検査に関する東北地方の受診者の反応
赤間 孝典 野水 整
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 15 巻 2 号 p. 32-38

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抄録
星総合病院は日本で古くから家族性乳がん患者の診療を行ってきた施設である.当院のBRCA 遺伝子検査は昨年1 年半の期間では9 例だが,ここ数年の検査数は年間0 例〜10 例以下である.海外に比べBRCA 遺伝子検査数は東北地方では非常に少ない印象がある.今回,家族性乳がんリスクのある患者の遺伝カウンセリング記録からBRCA 遺伝子検査に関わる会話を抽出し患者の反応として分析した.その結果,経済因子に分類される会話が69%の者から抽出され,その中の78%の者は経済的理由から遺伝子検査を受けられていない東北地方の現状が示唆された.逆に,高額な治療費を強いられながらも患者家族の努力や臨床研究者の努力があることで遺伝子検査の経済因子をクリアしようとしている現状も認められた.BRCA 遺伝子検査の適切な在り方の検討を含め医療関係者・研究者・行政・当事者が協同し遺伝カウンセリング体制を構築していく必要があると考えられた.
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© 2015 The Japanese Society for Familial Tumors
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