抄録
遺伝性の消化管腫瘍症候群は,相互に表現型(大腸や他臓器での腫瘍の発生,ポリープの分布形式や組織型)が複雑に重複し,臨床所見や家族歴からのみでは臨床的診断そのものが困難な場合がしばしば認められる.このような問題を解決するために,我々は2013年に次世代シーケンシング技術を用いた遺伝子解析による遺伝性消化管腫瘍症候群の診断法確立に関する研究グループ(SGHGCS)を立ち上げ,活動を行ってきた.これまでの我々の活動について国内外の状況と併せて紹介すると共に,家族性腫瘍学会に関連する他の研究グループとの協力関係構築の可能性について,2019年度に本格化するがんゲノム医療を想定し,現在のゲノム医療が抱える問題点についても触れながら,期待する将来像を述べる.