抄録
Peutz-Jeghers 症候群は,常染色体優性遺伝形式を有し,大腸を含めた種々の悪性疾患の高危険群である.近年,その原因遺伝子であるSTK11/LKB1 遺伝子が同定されたことから遺伝子診断が可能である.今回,38 歳,女性の本症例を経験し,informed consent のもと,STK11/LKB1 遺伝子の解析を行った.その結果,exon 8 のspliceacceptor site に現在まで報告のない新たな生殖細胞変異を検出した.また,その一子に対しても遺伝子解析を行ったところ,同様の変異が検出され保因者であることを確認し得た.今後,本症候群の確定診断や保因者診断にこの遺伝子診断が有用であると考えられる.