家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
症例報告
結節性硬化症(TSC1)の一例
金田 真理今井 克美平山 榕子樋野 興夫板見 智吉川 邦彦
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キーワード: 遺伝子型,孤発例
ジャーナル オープンアクセス

2003 年 3 巻 1 号 p. 48-51

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抄録
結節性硬化症は全身の過誤腫を特徴とする常染色体優性迫伝性の疾患で,近年その原因遺伝子TSC1,TSC2が染色1本の9番16番上に同定された.これらの遠伝子産物であるhamartinとtuberinは全く異なったタンバク質であり`これら個々の作用についても報告されつつある.しかしながら,これら異なった原因遥伝子によって弓Iき起こされるTSC1(結節性硬化症1型)とTSC2(結節性硬化症2型)を臨床的に区別することはできないと考えられて きた.最近になって,TSC1,TSC2の臨床症状の特徴か示唆されだしてきている.今回我々は,TSC1に異常が確認 できた結節性硬化症の孤発例を経験した.本症例は`三つ以上の白斑、シャグリンパッチ(結合織母斑)および cortical tuberと結節性硬化症の診断基準の大症状を二つ以上満足する典型的な症例で,家族全員の遺伝子検査を施行した結果患者のみに,TSC1のexon17に2bpのdeletion(del 211 ON2)が認められ,TSC1の孤発例と確定診断できた.
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© 2003 The Japanese Society for Familial Tumors
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