家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
特集 1 : わが国の HNPCC 研究−基礎と臨床−
家系内癌集積性を有する子宮体癌症例における MMR 遺伝子の生殖細胞変異解析
阪埜 浩司 進 伸幸矢野倉 恵平沢 晃塚崎 克己青木 大輔三木 義男野澤 志朗
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ジャーナル オープンアクセス

2007 年 7 巻 1 号 p. 15-18

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抄録
子宮体癌の一部は家族性腫瘍である遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)に関連し,MMR 遺伝子の生殖細胞変異により発生すると考えられている.家族性子宮体癌に関しては,その病態も不明な点が多く,有効なスクリーニング法も確立されていない.今回我々は,家系内癌集積性や重複癌を有する子宮体癌36 症例に注目し, 病態解明を目的として3 種のMMR 遺伝子(hMLH1, hMSH2, hMSH6)の生殖細胞変異を解析した.その結果,36 例中6例(16.6%)でMMR 遺伝子の生殖細胞変異を認めた.変異を有する症例のうちhMSH6 遺伝子のフレームシフト変異が3 例と最も高頻度であった.変異を有する6 症例はいずれも現在のHNPCC の臨床診断基準を満たしていなかった.HNPCC と診断されないさらに多くの家族性子宮体癌が存在し,その発癌にhMSH6 遺伝子変異が特に重要であると示唆された.子宮体癌患者の家系内の癌集積性に注目することで効果的にMMR 遺伝子の生殖細胞変異を発見することができる.
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© 2007 The Japanese Society for Familial Tumors
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