家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
総説
GIST の基礎と臨床
廣田 誠一
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2007 年 7 巻 1 号 p. 36-40

詳細
抄録
Gastrointestinal stromal tumor(GIST)とカハールの介在細胞(Interstitial cell of Cajal; ICC)にc-kit 遺伝子産物(KIT)などのいくつかの分子が共通して発現していることは,GIST がICC 由来の腫瘍であることを示し,GIST の大部分にc-kit 遺伝子の機能獲得性突然変がみられることは,GIST の発生・進展にc-kit 遺伝子が関与していることを示している.Germline にc-kit 遺伝子の機能獲得性突然変異を持つ家系の患者にICC の過形成を基盤としたGIST の多発がみられるという事実は,二つの可能性を裏付けるものと考えられる.また,一部のGIST の発生・進展にはPDGF レセプターα遺伝子の機能獲得性変異が関与していることも明らかにされている.KIT の活性阻害薬であるイマチニブが多くのGIST 患者に有効であり,c-kit 遺伝子・PDGF レセプターα遺伝子変異のタイプと有効性との関係が明らかにされ,GIST 患者における遺伝子変異の検索が重要視されている。
著者関連情報
© 2007 The Japanese Society for Familial Tumors
前の記事 次の記事
feedback
Top