家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
調査報告
遺伝性腫瘍における公的医療費助成制度の実態調査
山本 佳世乃仲島 晴子土橋 文枝片桐 三枝子新井 良子田村 智英子赤木 究
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ジャーナル オープンアクセス

2007 年 7 巻 1 号 p. 54-58

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抄録
遺伝性腫瘍は家族集積性や多発がん,若年発症などの特徴を有するため,家族内の医療費負担は非常に大きいと推測される.今回,私たちは遺伝性腫瘍を対象とした公的医療費助成制度の現状を調査し,その実態を明らかにした.その結果,18 歳未満までは小児慢性特定疾患により,遺伝性の有無にかかわらず,すべての悪性新生物が医療費助成制度の対象と成りうるが,成人以降で対象となるのは,特定疾患の中の神経線維腫症Ⅰ型/Ⅱ型(常染色体優性),再生不良性貧血の中に含まれるファンコニー貧血(常染色体劣性),原発性免疫不全症候群の中に含まれる毛細血管拡張性運動失調症(常染色体劣性),X 連鎖性リンパ増殖症候群(X 連鎖劣性)のみであった.また,各都道府県における独自の助成制度においては,東京都のみで母斑症が認められており,この中に結節性硬化症,vonHippel-Lindau 病,家族性皮膚基底細胞がん(いずれも常染色体優性)が含まれていた.このように,成人以降の遺伝性腫瘍に対する医療費助成制度はほとんど整備されておらず,早急な対応策が必要である.
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© 2007 The Japanese Society for Familial Tumors
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