抄録
われわれはDNA ミスマッチ修復タンパク質MLH1 の1 アミノ酸置換によって生ずる機能障害を実験的に評価し,HNPCC 発症リスクを予測するための基盤となる結果を蓄積してきた.本研究では101 個のMLH1 変異体の機能評価をし,疾患発症リスクが高い変異体と低い変異体に分類した.また,p73 依存性アポトーシス誘導に関するMLH1 変異体の影響を調べ,抗癌剤感受性に関連する機能のレベルを解析した.ミスマッチ修復遺伝子変異の機能診断として,単一の機能に関して多くの変異を解析すること,およびある変異体のもつ複数の機能に関して評価をするという二つのアプローチを行った.