家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
特集1:家族性内分泌腫瘍
MEN2 の副腎腫瘍(褐色細胞腫)の臨床像と治療
今井 常夫
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ジャーナル オープンアクセス

2007 年 7 巻 2 号 p. 75-79

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抄録
MEN2 においては褐色細胞腫が発症する.褐色細胞腫は,その存在を知らずに手術侵襲などが加わると致死的な合併症を引き起こす可能性がある.MEN2 においては甲状腺髄様癌の治療が先行することが多いので,治療前に褐色細胞腫の存在の有無をチェックすることが必要である.MEN2 では褐色細胞腫の発症確率は50%と言われているが,このデータは遺伝子診断にもとづく早期甲状腺髄様癌の治療が開発される前のものである.甲状腺髄様癌が早期に治療され,長期生存するMEN2 の患者が増加すると褐色細胞腫の発症確率は高くなる可能性がある.褐色細胞腫を発症したMEN2 では褐色細胞腫が死因の3 分の2 を占めるという報告がある.甲状腺髄様癌の術後に褐色細胞腫の経過観察をするにあたって,どの時点で褐色細胞腫の治療を行うか,副腎手術の術式をどうするか,副腎の切除範囲をどうするか,など今後の検討課題である.
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© 2007 The Japanese Society for Familial Tumors
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