抄録
近年の分子遺伝学の発展により,遺伝性腫瘍の存在が知られるようになり,遺伝子診断も試みられるようになってきた.通常の診療場面とは違い,遺伝性腫瘍の家系の可能性が高い患者や家族に対して説明を行う際には,遺伝に関する情報を伝えながら対象者の心理的な反応も把握し対応するという,高度なコミュニケーションスキルが必要である.そこで,がんの診断や再発の告知場面や遺伝子検査結果の開示の場面などのbad news を伝える際のadvancelevel のスキルとして開発されたSPIKES を紹介する.現在は,がん医療におけるコミュニケーションに関する研究結果を参考にしているが,これからは遺伝カウンセリングにおけるコミュニケーションスキルのあり方を模索していく必要がある.