家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
総説
家族性膵癌
松林 宏行小野 裕之福冨 晃Michael Goggins
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ジャーナル オープンアクセス

2008 年 8 巻 1 号 p. 24-28

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抄録
欧米では第一度近親者に2 人以上の膵癌患者を有する例を「家族性膵癌」と分類している.家族性膵癌は全膵癌の5 〜10 %を占め,家系内に膵癌例が多いほど膵癌発生の期待値が高いこと,民族性がみられること,発症年齢が若年化傾向を示していることなど,他の家族性腫瘍と共通の特徴を有する.主要な責任遺伝子はまだ明らかではない.欧米では1990 年代から家族性膵癌の登録機構が設立され,膵癌家系や遺伝性症候群などハイリスク群の経過観察による膵癌早期発見の試みが始まっている.「家族性膵癌」は日本国内ではまだ認知されていないが,医療レベルが高く検診システムが発達した日本でこそ,このようなシステムの導入が期待される.
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© 2008 The Japanese Society for Familial Tumors
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