農作業研究
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農業者調査による乗用型トラクタ安全装備の効果の分析
冨田 宗樹水上 智道高橋 正光塚本 茂善
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2009 年 44 巻 4 号 p. 225-232

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抄録

乗トラにおける安全装備の評価および改善のための資料を得,これを考察し,事故防止策を提案すること目的として,農業者における事故事例をアンケート方式で調査した.その結果,転落・転倒事故208件,その他の事故81件の事例が得られた.そのうち,死亡事故はそれぞれ29件,18件であった.転落・転倒事故での受傷程度をROPSの有無によって比較すると,死亡事故の割合はROPSありで3%,ROPSなしでは25%と明らかな差があった.転落・転倒事故の原因は路上またはほ場での脱輪によるものが最も多く,事故の46%,死亡事故の54%であった.また,ROPSなしでは重傷の傾向があった.
転落・転倒以外の事故では,事故全体,死亡事故とも,挟まれ,巻き込まれによるものが多く,事故が発生した作業機は,ロータリが多かった.
本調査により,転落・転倒事故におけるROPSの死亡事故抑止効果が明らかになった.課題としては,ROPSのさらなる普及拡大に加え,シートベルトの装備および使用の推進,並びに作業機による挟まれ,巻き込まれ事故の防止策が挙げられた.

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© 2009 日本農作業学会
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