2011 年 46 巻 2 号 p. 59-67
本研究では,放任栽培が可能で,多収を得るには密植栽培を必要とする短節間カボチャ品種‘TC2A’の定植作業において,セル成型苗の利用とその機械定植による省力化を検討した.
1)セル成型苗人力定植の作業時間は,ポリポット苗の定植の約43%にあたる5.92h・人/10aに短縮され,大幅な省力化が可能であった.
2)セル成型苗の機械定植時の作業時間は,機械定植に0.84h・人/10a, 苗の補給等に0.34h・人/10a, 定植後の苗の手直しに2.59h・人/10aを要し,総計で3.85h・人/10aとなり,苗の運搬と定植の作業時間は移植機を用いることで人力定植(苗の手直しを含まない)比の約40%に短縮された.
3)セル成型苗定植栽培の果重収量は,ポリポット苗定植栽培と同等以上であった.
4)機械定植で手直しを省略した場合,欠株率は2%未満であった.欠株により果数は減少したが,1果重の増加により補償されるため,‘TC2A’の果実収量は欠株率が10%以下では減収しなかった.
5)以上より,‘TC2A’の栽培では,セル成型苗を定植することで作業時間の短縮が可能となる.機械定植ではさらに作業時間が短縮され,定植後の手直し作業を省略しても,減収のリスクは小さいことが明らかとなった.