農作業研究
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総説
口蹄疫発生後の処理に関する課題について:宮崎県(2010年)と英国(2001年)との比較
西脇 亜也一木 美紗
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2011 年 46 巻 4 号 p. 159-165

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抄録
口蹄疫発生後の埋却に関する課題について検討するために,口蹄疫発生時の家畜処分方法を,2001年の英国と2010年の宮崎県との間で比較した.
 1,2010年に宮崎県で発生した口蹄疫では,殺処分された家畜の処分は,ほぼ100%が埋却によって行われたが,埋却地を確保することが困難なケースが多く,殺処分や埋却遅れによる感染拡大の一因となった.
 2,日本の埋却地は,家伝法によって3年間の発掘禁止となるため,3年間は耕作利用が制限される.このことによって生じる問題点を整理するとともに,ネピアグラスを用いた不耕起栽培が埋却地利用として有望であることを論じた.
 3,英国で2001年に生じた口蹄疫で殺処分された家畜の処理方法は,日本の宮崎県で2010年に生じた際とは大きく異なり,焼却,レンダリング,大規模処理場での埋却,共同埋却,農場での埋却など様々であった.また,環境負荷コストが埋却で最も高いことや埋却地の確保や管理の困難性から,今後,日本でも埋却以外の処理方法を検討する必要性があることを論じた.
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© 2011 日本農作業学会
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