抄録
長岡浄化センターでの下水汚泥稲わら混合嫌気性消化によるバイオガス生産に必要な稲わらを,センター周辺水田から供給する収集・運搬体系を確立することを目的に,現地調査および現地試験を行った.その結果,稲わら収集可能な時期は9~10月で,収集可能回数は概ね6~8回であった.また,収穫後の降雨の影響により,稲わら収量は大きく異なった.収穫後に多量の降雨暴露を経た水田の稲わら収量は,水稲収穫直後の68%であった.これは主として,収穫後の降雨により一部の稲わらが地面と密着し,反転できなかったことによった.収集・運搬の最小単位は作業者3名で構成できた.収集日数2日間では,最大収集体系(梱包作業時間を最大にする体系)の収集量が最も多く,最小単位当たり 23~24 Mg/回(水分20%換算)であった.一方,収集日数3日間以上では,最少農機体系(最小単位の持つ農機各1台の体系)の稲わら収集量が最も多く,収集日数3日間で39.2 Mg/回,同 4日間で 58.8 Mg/回であった.これは,最少農機体系では集草,梱包作業と次の収集箇所の反転作業を同時に行えたことによった.収集日数2日間,収集回数7回(9月3回,10月4回)を仮定した場合,1916 Mg(水分20%換算)の稲わら収集・運搬に必要な延べ作業者数および延べ農機数は,最少農機体系では,42人,14~15台,最大収集体系では36人,レーキは24台,その他の農機は12~13台,反転2回体系では57人,19~20台と予測された.