農作業研究
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49 巻, 2 号
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研究論文
  • 塚本 隆行, 吉永 悟志, 古畑 昌巳, Nguyen Thi Thanh LOAN, 帖佐 直
    2014 年 49 巻 2 号 p. 49-55
    発行日: 2014/06/20
    公開日: 2014/12/26
    ジャーナル フリー
    エアーアシスト条播機の播種深の制御を目的として播種精度の解析を行うとともに,複流式播種技術を開発し,その効果について定置条件での性能試験と圃場での栽培試験を行った.
    1)吐出風速を増加させることで播種深を深くする手法を検討した結果,吐出風速の増加に対して種子の吐出速度と寒天ゲルへの埋没深の増加量は小さかったことから播種深の増大は困難であることが明らかになった.
    2)送風機を増設し,副流の吐出空気で圃場表面に作溝し,主流の吐出空気で種子を播種する複流式エアーアシスト条播機を開発した.
    3)土槽への作溝試験の結果,副流の吐出口から地表面までの距離が 20 mm 以下の条件で,地表面に作用する風速が 18 m/s 以上に達し,地表面に 7 mm の溝を生じさせた.播種深を深くすることが可能になる副流の条件を明らかにした.
    4)複流式エアーアシスト条播機による ‘どんとこい’ の栽培試験の結果,慣行のエアーアシスト播種区に対して複流式の播種区では 3 mm 程度白化茎の長さが増加した.3回の圃場試験で得られた白化茎の長さから,目標の 5~10 mm の播種深が得られ,播種深度を深くすることで,表面に露出した種子の割合が大幅に減少した.
    5)複流式エアーアシストで播種された稲の1ヶ月後の苗立ち率,草丈,地上部乾物重はエアーアシスト条播の条件と同程度得られた.最終的な乾物重および収量と精玄米千粒重についても同等となった.
  • 川口 岳芳, 南田 秀樹, 川本 靖信, 佐藤 彩佳
    2014 年 49 巻 2 号 p. 57-67
    発行日: 2014/06/20
    公開日: 2014/12/26
    ジャーナル フリー
    広島県の特産野菜であるワケギ栽培において,球根の植付作業は,中腰,手作業での辛い作業であることから,軽労・省力・効率化が求められている.そこで,長ネギ用の簡易移植機を利用した新たな球根の植付方法を考案した.植付方法の作業工程は,水稲用育苗箱に展開した連結紙筒に球根を装填し,上から培地を充填する.次に,連結紙筒を浸漬し糊を溶解させ,簡易移植機に装着して引っ張る.植え付け前に連結紙筒へ装填が可能な球根割合は,収穫した球根の90%以上を占めたことから,連結紙筒が本植付方法に利用可能であることが示された.連結紙筒の糊を溶解させるための浸漬時間は,水温が 30°C では 22分,20°C では35分,10°C では 43分であった.本方法によるワケギの生育および収量は,慣行の手植えと同等であったことから,営利栽培への実用可能性が示された.しかし,簡易移植機の既存機種での球根の植え付けは,植え付け深さの不均一,植え付け時の球根の転倒および機体へのひっかかりが生じたことから,今後この問題を解決するために新たな機構の開発や改良を行い,球根の植え付けに対応した新機種を開発する必要性が示唆された.
  • 渋川 洋, 井上 明大, 姫野 修司, 小松 俊哉
    2014 年 49 巻 2 号 p. 69-78
    発行日: 2014/06/20
    公開日: 2014/12/26
    ジャーナル フリー
    長岡浄化センターでの下水汚泥稲わら混合嫌気性消化によるバイオガス生産に必要な稲わらを,センター周辺水田から供給する収集・運搬体系を確立することを目的に,現地調査および現地試験を行った.その結果,稲わら収集可能な時期は9~10月で,収集可能回数は概ね6~8回であった.また,収穫後の降雨の影響により,稲わら収量は大きく異なった.収穫後に多量の降雨暴露を経た水田の稲わら収量は,水稲収穫直後の68%であった.これは主として,収穫後の降雨により一部の稲わらが地面と密着し,反転できなかったことによった.収集・運搬の最小単位は作業者3名で構成できた.収集日数2日間では,最大収集体系(梱包作業時間を最大にする体系)の収集量が最も多く,最小単位当たり 23~24 Mg/回(水分20%換算)であった.一方,収集日数3日間以上では,最少農機体系(最小単位の持つ農機各1台の体系)の稲わら収集量が最も多く,収集日数3日間で39.2 Mg/回,同 4日間で 58.8 Mg/回であった.これは,最少農機体系では集草,梱包作業と次の収集箇所の反転作業を同時に行えたことによった.収集日数2日間,収集回数7回(9月3回,10月4回)を仮定した場合,1916 Mg(水分20%換算)の稲わら収集・運搬に必要な延べ作業者数および延べ農機数は,最少農機体系では,42人,14~15台,最大収集体系では36人,レーキは24台,その他の農機は12~13台,反転2回体系では57人,19~20台と予測された.
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