農作業研究
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研究論文
スタブルカルチと縦軸駆動ハローを用いた播種床造成による 水稲無代かき湛水直播栽培の特徴と水稲生育
進藤 勇人齋藤 雅憲佐々木 景司佐藤 雄幸片平 光彦
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2017 年 52 巻 3 号 p. 121-131

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抄録

本報では水稲湛水直播栽培における耕うん,整地作業を効率化するため,スタブルカルチと縦軸駆動ハローで播種床を造成し,湛水後落水したほ場での播種を乗用高精度湛水直播機で行う無代かき湛水直播栽培を検討した.試験は4年間実施し,播種床造成での作業能率と燃料消費量,水稲の生育と収量,玄米品質を調査した.播種床造成作業ではスタブルカルチによる耕起と縦軸駆動ハローによる砕土・整地で63.4~73.5%の砕土率が確保できた.造成された播種床は3~4日間浅水の湛水管理をして土壌を軟らかくすることで,乗用高精度湛水条播機により過酸化カルシウム粉粒剤粉衣種子を播種できた.無代かき区の播種床造成では,同一トラクタで行った代かき区と比較して作業時間で平均41%,燃料消費量は平均26%減少した.無代かき区の苗立ち率は平均71.7%で代かき区よりやや高く,十分な苗立ち本数が得られた.無代かき区は中干し時の土壌水分の低下が速く,無効分げつの発生が少ないことで有効茎歩合が高くなり,代かき区と同等以上の穂数が確保された.無代かき区の精玄米収量は代かき区と同等であったが,玄米タンパク質含有率はやや低かった.

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© 2017 日本農作業学会
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