ヒマワリは油糧作物として日本全国で栽培されているが,子実収穫後に残る茎などはあまり活用されていない.近年では,ヒマワリは景観形成作物や土壌中の余剰養分の吸い上げを目的としたクリーニングクロップとしても注目されている.本研究では,ヒマワリの生育過程における炭素と窒素の蓄積を観察してその特性を明らかにするとともに,作物残渣の利用性について検討することを目的とした.東京農工大学附属農場において,3 m×3 mの試験区に栽植密度と施肥条件を変えてヒマワリを栽培して生育過程を観察するとともに,開花期,開花終期および収穫期でヒマワリを採取して分析試料を得た.ヒマワリの部位別に乾物重,発熱量,炭素および窒素の含有率を測定し,その推移を解析した.その結果,作物残渣となる茎葉部は子実とほぼ同等の発熱量を有すること,栽植密度が高いとバイオマスが増大すること,吸収される窒素の約1/3は登熟期に子実へ集積されることが分かった.