農作業研究
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研究論文
日本海側水田転換ほ場での土壌物理性の変化と露地野菜の機械化作業体系
佐藤 麻衣田邊 大進藤 勇人中川 進平齋藤 雅憲片平 光彦
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2020 年 55 巻 1 号 p. 23-33

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抄録

本報は日本海側での水田の高度利用による生産者の粗収益増加を目的に,水田転換ほ場に対する排水対策の違いが土壌物理性に与える影響と露地野菜の機械化作業体系を検討した.水田転換ほ場に明渠と弾丸暗渠を施工した試験区(B区)では土壌構造の発達が顕著となり,明渠のみを施工した試験区(A区)と比較して飽和透水係数と畑地化指標が早期に改善した.転換初年目1作めエダマメの莢重収量はA区で935 kg/10a,B区で732 kg/10aであった.転換初年目2作めキャベツの収量は3,178 kg/10aと3,684 kg/10aであった.転換2年目サトイモの収量は早どり作型で3,026 kg/10aと2,613 kg/10a,慣行作型で2,539 kg/10aと2,364 kg/10aであった.転換3年目ネギの収量は4,464 kg/10aと7,107 kg/10aであった.日本海側の水田転換ほ場では,粘土質が高く排水性が悪いほ場の場合,弾丸暗渠を施工し畑地化を促進させる必要があるが,埴壌土程度の土性を有するほ場では明渠のみの施工で対応できる可能性がある.排水対策を施した水田転換ほ場では,初年目1作めで砕土性と湿害回避に優れるアップカットロータリを用いたエダマメの耕うん同時畝立て栽培,次いで水田用ハローの利用で畝立て作業を効率化できる小畝立て栽培に適したキャベツなどの作目の導入が有効である.2年目以降は土壌物理性の改善で作土層が拡大するため,サトイモの畝立てマルチ同時移植やネギの溝切り同時側条施肥などの作目と作業技術を適用することでほ場を有効に活用できる.

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© 2020 日本農作業学会
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